今年の初めころ、独立して2年ほどの20代の個人事業主からのご相談がありました。
知人のつてとのこと。
ご相談はこんな内容でした。
『毎月の売上が必要額までいつも足らなくて、友だちやお客さまからお食事のお誘いを受けるのが、苦痛なんです。』とのこと、さらに借金までしているといいます。
(少しでも早く、売り上げをあげたいんですね、今はどういう状況なんですか?)
セールスの状況を聞いてみると、一切、営業活動もせず、サービス紹介ツールもなく、ただご紹介だけで地道に増やしているとのことだったので、なぜ営業活動をしないのか尋ねました。
『営業って、されたらやな人もいるじゃないですか。そう思われたら嫌なのでしてません。』とのこと。
(なぜお客さまは、大切な方々をご紹介いただけるのですか?)と聞くと、嬉々として答えました。
『すっごく喜んでくださって、私とお付き合いいただけるようになってから、精神的にも体調もすごく調子がいい!って仰ってくださってるみたいなんです!嬉しいですよねー?』
とまるで、人ごとのように仰る彼女、しかしその『人ごとのように』という印象が気になりました。
典型的な勢いでそこそこ売れてしまうタイプではあるものの、その専門的技術や知識はかなり高いご様子で、その努力も怠っていないことがわかりました。
しかし、『自分の価値』に気づいていない、正確には『評価を受け容れていない』ことがみえてきました。
だから自分のことを『人ごとのように話す』のです。
心の奥底では『自信を持てない』からのようです。
皮肉にも、それはこれまでの人生において『生きる力の源泉』となっていたのです。
『自分に自信がない』から、物凄い努力はするが、人からの評価には心を塞いでしまう(信じられない)と。
『自分に自信がない』から、営業活動を一切やらない(非難されると思い込んでいる)。
そのネガティブなポイント『心を塞ぐ』『リスクをとらない』はいったん(それはそれでOK)と置いておいて、物凄い努力をするというポジティブな点にフォーカスします。
評価に対して、心底信じないものの、そのお客様をたいせつに思う気持ちと行動は目を見張るものがありました。
『売上をあげるというのは、お客様の評価があがれば勝手にあがっていきますから心配いりませんよ。
ただひとつ教えて欲しいんですが、今、ご評価くださっているお客様に、もっと喜んでいただくために、何かお考えですか?』
と聞くとでてくるでてくる、アイデアの泉でした。
しかし、時間とスキルがない為、やれていないとのことでしたので、その実践フォローと月1回のセッション、Webを通じてのサポートで着実に成果があがっていきました。
ご相談当時までの2年間、月間売上が15万円程度だったのが、徐々に増えて、今は35万円を超え、40万円に迫る勢いだとのこと。
今もその『物凄いネガティブな努力家』という彼女のサポートは続けています。
目標もさらに具体的になってきていて、来年には海外旅行にいくこと、将来的には自然の中に一軒家を建て、みんなをおもてなしするんです!と喜々として仰っていました。